お寺が大切にしていること
正光寺に来て20年弱、その間の東日本大震災~コロナウイルス流行といった出来事や、たくさんの人たちとの新しいつながりを経て、いろいろなことを経験しながらお寺のあり方について考えてきました。そんな中で今大切に思うのは、お寺は地域の暮らしの中のいろいろな不安を安心にかえる場所だということ。その活動を通じて地域をよりよくして未来へとつなぐ場所だということ。そのためにお寺ができること、お寺の持つ役割と可能性はとても大きいということです。
そんな思いの原動力として今大切にしている三つのことばを紹介します。
そんな思いの原動力として今大切にしている三つのことばを紹介します。
お寺はみんなのごみ箱
30歳から仏門に入り宗派の大学である大正大学に編入、右も左もわからないまま飛び込んだ仏教学の世界でしたが、いろいろなことを学ぶ中で、講義中の一言一句を漏らさないように必死に書き留めていた恩師がいました。その先生がある時自分たち学生に向けて話したこと。「お前らなぁ、寺はみんなのごみ箱なんだよ。生きてて重たくなった荷物とかいらなくなったものをいつでもふらっと来て捨てていける場所なんだよ」。何一つ飾ることなく、お寺があるべき姿、その姿勢を教えてくれるこのことばは今でもしっかりと心に刺さったまま、すべての指針となっています。
子どもは未来
音楽活動と仕事をしながら都内で暮らしていた20代。同じく名古屋から上京して家庭を持つようになった友人達との同窓会で一人が発した何気ないことば「子どもは未来だよね」を大切にしています。今地域で育っている子どもたちは、自分たち大人がいつか死んだのち見ることのない未来を見ることができる存在、いわば彼らこそが地域の未来そのものです。彼らが成長し羽ばたくことは自分たちの地域の未来が羽ばたくことであり、お寺に限らず自分たち大人のすべきことは、それぞれができることを通じて子どもたち、若い世代の成長を支えながら少しでも地域、世の中をよくして次世代にパスしていくことだと思います。そのためにお寺ができることはたくさんあると感じています。
回向
お寺の儀式の一番最後に唱える回向文(えこうもん)。自分が積みかさねたいろいろな功徳、たくわえられた新たな力を外に振り分けてみんなで世の中をよくしていこうという意味の、短いけれども大切なお経です。正光寺ではお供えもの『えこう』やそのほかいろんな活動のキーワードとしてこの「回向」ということばを大切にしています。いろんなことを通じて楽しんだり、安心したりしながら、ちょっと良くなった分、ちょっとパワーアップした分を独り占めしないで、その力をちょっとずつでいいから世の中におすそ分けしていけるようなはたらき。そうやってお寺が地域の歯車の一つになってみんなの力をぐるぐると回しながら、全体が少しづつ温まっていけるように。そうやって地域もお寺も末永く豊かであるように。
正光寺ではこの三つのことばをいつも大切にして、これからもいろいろなことにチャレンジしていきます。
正光寺ではこの三つのことばをいつも大切にして、これからもいろいろなことにチャレンジしていきます。